掲載記事数 |
---|
110記事 |
引用には「直接引用」と「間接引用」の2つの方法があります。研究論文や学術書を執筆する際に、他者の意見や研究結果を取り入れることは重要ですが、それぞれの引用方法には異なるルールと役割があります。本稿では、これら2つの引用方法についての基本ルールと使い分けのポイントなどを詳しく解説します。
直接引用と間接引用の違い
直接引用と間接引用は何が違うのか
直接引用とは元の著者が書いた文章をそのまま引用し、書き写すのが直接引用です。一般手的には引用符を使い引用をします。
間接引用とは内容を自分自身で要約して引用する方法です。要約するため、間接引用元の意図を正確に伝えることが求められます。
直接引用の定義と特徴
直接引用とは、元の著者の言葉をそのまま引用することです。出典を明示することで、正確に情報を伝えられます。
直接引用の基本ルール
直接引用するときの基本的ルール
引用符で囲む:原文をそのまま使用し、必ず引用符 ( 「 」や“ ”)を使いで囲みます。
出典を明示: 元の記事の著者名、出版年、ページ番号などを記載します。
短い引用と長い引用の違い
短い文章と長い文章を直接引用するときの一般的なルール
短い引用(概ね40語以内):一般的には本文に組み込んで引用符を使います。
長い引用(概ね40語以上):一般的には本文から独立させ、インデントして引用符なしで表現します。また、前後を一行開けたりして直接引用した部分が分かるようにすることもあります。
間接引用の定義と特徴
間接引用とは、元の著者の意見を自分の言葉で言い換えて引用することです。
この際、パラフレーズ(内容を言い換えること)によって、自分の解釈を加えながら元の意図を伝えます。
間接引用のルール
間接引用の一般的なルール
要約:
重要なポイントのみを抽出して、短くまとめます。
パラフレーズで伝える:
パラフレーズとは、引用する資料の言葉や文章を要約したり、わかりやすく言い換えることです。自分の考えや分析、評価を加えて構築することが推奨されます。
元の著者の考えを忠実に伝えること:
間接引用は、元の著者の主張や考えを自分の言葉で要約しますが、元の文章の内容は忠実に伝えなければなりません。
出典を明示すること:
間接引用でも、元の情報の出典を必ず明示する必要があります。
引用符を使わない:
直接引用とは異なり、間接引用では引用符(「」)を使用しません。これは、引用した文章が元の文章そのままではなく、自分の言葉で再表現されているためです。
間接引用の重要性
間接引用は、直接引用と違い、自分の視点で理解した内容を示すために重要です。
また、原文の要点を効率的に伝えることで、読者にとって分かりやすい内容を提供できます。
直接引用と間接引用の使い分けのポイント
文章全体において、直接引用と間接引用をバランス良く組み合わせることで、自分の視点と根拠の両方を明確にします。
直接引用と間接引用の使い分け
直接引用をした方が良い場面と、間接引用したほうが良い場面があります。どのようなポイントで使い分けをすればよいでしょうか。
直接引用が良い場合
原文を生かすべき場面
著者の表現自体が重要で、そのまま著者の意図を伝えたい場合は直接引用にて引用する
間接引用が良い場合
自分の意見を強調する場面
内容を自分の視点で再解釈して議論に組み込む場合は、間接引用にて引用する
直接引用と間接引用の文例
直接引用と間接引用の違いを分かりやすく文章で例示します。
直接引用の例
「技術革新は社会のあらゆる側面に影響を与えています」(田中, 2020, p. 23)。
原文をそのまま引用し、著者である、田中の意見を正確に読者に伝えています。
間接引用の例
田中(2020)は、技術革新が社会全体に広範な影響を与えていると述べています。
元の文章の内容をパラフレーズして、自分の言葉で伝えています。これにより、オリジナルの意味を保持しつつ、自分の文章に自然に組み込むことができます。
パラフレーズとは、元の文章や表現を別の言葉で言い換えることを指し、内容を変えずに再度説明する際に使われます。これは元の意味を保ちながらも自分の文章スタイルに合わせるために重要です。
参考
・https://www.juen.ac.jp/psych/nakayama/making/02.html
・https://ac-writing.com/paraphrasing/
学術情報発信ラボ 執筆・編集チーム
学術サポートGr.
学術情報発信に携わる編集チームとして、長年にわたり学術出版に関する深い知識と実績を有する。国内の数十誌にわたる学術雑誌の発行サポート経験を活かし「学術情報発信ラボ」の執筆チームとして、研究者や編集者に向けた最新のトピックや、研究成果の迅速な発信に貢献する情報を発信している。
専門分野は学術出版、オープンアクセス、学術コミュニケーションであり、技術的な側面と学際的なアプローチを交えた解説が特徴。