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ResearchGate(リサーチゲート)は、研究者のための専用SNSとして、世界中の学術コミュニティで広く利用されています。論文の共有やオープンアクセスの促進、研究者間の交流をサポートする一方で、著作権や情報の品質、プライバシーに関する課題も指摘されています。本記事では、ResearchGateの主要な特徴とともに、そのメリットと問題点について詳しく解説します。
目次
- 1. ResearchGateの基本概要
- 1.1. ResearchGateとは何か
- 1.2. ResearchGateの機能と特徴
- 1.3. ResearchGateの歴史と背景
- 2. ResearchGateでの論文自動追加
- 2.1. ResearchGateでの論文自動追加の手順
- 2.2. 自動追加機能のメリットとデメリット
- 2.3. 論文追加で注意すべき著作権問題
- 3. ResearchGateの問題点
- 3.1. 著作権の問題
- 3.2. 品質管理の課題
- 3.3. プライバシーとセキュリティの懸念
- 3.4. 商業的な側面
- 3.5. 学術的評価への影響
- 3.5.1. RGスコアとは?
- 3.6. 情報の偏り
- 4. ResearchGateで論文をアップロードする際の著作権問題
- 4.1. 出版社の著作権ポリシーの確認
- 4.2. アップロード可能なバージョン
- 4.3. エンバーゴ期間の遵守
- 4.4. 共著者への配慮
- 5. ResearchGateでアップロードする際のライセンスの種類について
- 5.1. 公開ライセンス
- 5.2. 制限付きライセンス
- 5.3. 非公開オプション
- 6. まとめ
- 7. 参考
ResearchGateの基本概要
ResearchGateとは何か
ResearchGate(リサーチゲート)は、世界中の研究者が研究情報を共有し交流できる科学者・研究者専門のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)です。(https://www.researchgate.net/)
2008年に設立され、現在はドイツのベルリンに本部を置く営利団体が運営しています。
2,500万人以上の会員を有し、世界最大級の学術SNSとして、研究者のための重要なプラットフォームとなっています。主に英語が使用され、国際的な研究交流の場として活用されています。
ResearchGateの機能と特徴
ResearchGate(リサーチゲート)の主な機能は、以下のとおりです。
ResearchGateの主な機能
- 論文の共有と入手: 研究者は自身の論文をアップロードして、他の研究者と共有することができます。オープンアクセスになっていない論文でも、著者に直接リクエストを送ることで、入手できる場合があります。
- 研究者間の交流: 世界中の研究者とつながり、チャットのような感覚で議論を交わすことができる他、興味のある研究者をフォローすることで、新しい論文発表などの通知を受け取ることができます。
- 研究成果の発信: 査読付き論文だけでなく、プレプリント、学会発表資料、研究データなど、さまざまな形態の研究成果を共有することができます。自身の論文の読者統計や引用情報を確認する機能もあります。
- 求人情報の提供: アカデミアのポストや企業の研究職などの求人情報を閲覧でき、研究者のキャリア形成にも役立つプラットフォームです。
ResearchGateの歴史と背景
ResearchGate(リサーチゲート)とは、研究者同士が効率的に情報を共有し、グローバルなコラボレーションを促進するためのプラットフォームとして設立されました。
創設者たちは、自身が研究者として世界中の同僚と共同研究を進める上で、情報共有や連携における課題に直面していました。その経験から、研究者が互いにつながり、知識や研究成果を共有できる場を提供しようというアイデアが生まれました。
設立以来、ResearchGateは急速に成長を遂げ、現在では2,500万人以上の研究者、科学者、学者が会員となっています。また、2013年にはビル・ゲイツが同社に投資を行い、さらなる発展の基盤を築きました。
ResearchGateの設立目的は、共通の研究関心を持つ研究者を結びつけ、共同研究を促進することです。
研究者同士が潜在的な共同研究者を見つけ、アイデアを交換し、共同プロジェクトに取り組むことを可能にするために、設立されました。この明確な目的のもと、ResearchGateは、研究者間のグローバルな連携と情報共有を推進するプラットフォームとして、世界中の研究者にとって不可欠なツールへと成長しました。
ResearchGateでの論文自動追加
ResearchGateでの論文自動追加の手順
ResearchGate(リサーチゲート)では、論文の自動追加機能を提供しており、研究者は自身の公開論文を自動的にプラットフォームに追加することができます。
手順としては、まずResearchGateのアカウントにログインし、設定メニューから「論文追加」を選択します。その後、Google ScholarやPubMedなどの外部データベースから論文情報をインポートします。
自動追加機能のメリットとデメリット
ResearchGate(リサーチゲート)の自動追加機能は、研究者が自身の研究成果を手軽に共有できる利便性を提供しています。
この機能を使うことで、論文の登録作業が効率化される一方で、いくつかのリスクも伴います。以下に、自動追加機能のメリットとデメリットをまとめた表を示します。
メリット | デメリット |
---|---|
SNSに登録する時間の節約 | 誤ったデータがインポートされる可能性 |
最新の論文情報を常に保持 | 著作権侵害のリスクがある |
他の研究者に対して研究成果を迅速にアピール可能 | データベースとの連携が不完全な場合がある |
この自動追加機能により、研究者は自身の研究成果を迅速に発信し、他の研究者とのネットワークを強化できます。
しかし、誤ったデータがインポートされるリスクや、著作権に関する問題にも注意が必要です。
特に、インポートされたデータの正確性を確認し、著作権ポリシーを遵守することが重要です。また、データベースとの連携が不完全な場合には、手動での修正が求められることもあります。研究者はこれらの点を考慮しながら、自動追加機能を賢く活用することが推奨されます。
論文追加で注意すべき著作権問題
ResearchGate(リサーチゲート)で論文を追加する際には、著作権に関する注意が必要です。
特に、出版社の許可を得ずに論文をアップロードすることは著作権侵害となる場合があるため、出版社のポリシーを確認し、許可された形で論文を公開することが重要です。
ResearchGateの問題点
著作権の問題
ResearchGate(リサーチゲート)には、論文の著作権侵害のリスクがあります。
研究者が自身の論文をアップロードする際、出版社が保有する著作権を侵害する可能性があり、2017年には大手学術出版社がResearchGateに対して著作権侵害の訴訟を起こしています。
品質管理の課題
ResearchGate(リサーチゲート)では、プレプリントや未発表の論文も共有されるため、品質が保証されていない情報が流通するリスクがあります。
これにより、誤った情報や不適切なデータが拡散される可能性があります。
プライバシーとセキュリティの懸念
研究者の詳細な個人情報や研究データが集積されるため、プライバシーやセキュリティに関する懸念があります。
データの不正利用や漏洩のリスクも存在します。
商業的な側面
ResearchGate(リサーチゲート)は営利企業であり、収集した研究者の情報や研究データを商業的に利用する可能性があります。
これにより、広告やスポンサーシップなどの商業的要素が、学術的な環境に影響を与える可能性があります。
学術的評価への影響
ResearchGate独自の評価指標(RGスコアなど)が、従来の学術的評価指標と異なるため、研究者の評価に不適切な影響を与えることが懸念されています。
RGスコアとは?
RGスコアは研究者の科学的評判を測定する指標として設計されています。
RGスコアの計算方法(~2109年)
- このスコアは、研究者がResearchGateに投稿したコンテンツと、他の研究者とのやり取りに基づいて計算されます。
- スコアは研究者のプロフィールページに表示され、定期的に更新されます。
ただし、ResearchGateは2019年にRGスコアの計算方法を変更し、より透明性を高めるための取り組みを行っています。
現在のRGスコアは、主に以下の要素に基づいて計算されています
RGスコアの計算方法(2109年~)
- 研究者が投稿した研究成果(論文、データセットなど)
- 他の研究者からの質問への回答
- フォロワーの数
ResearchGate(リサーチゲート)は、RGスコアが従来の学術的指標を補完するものであり、それに取って代わるものではないと強調しています。
また、このスコアの使用には注意が必要であり、研究者の評価に単独で使用すべきではないとしています。
情報の偏り
ResearchGate(リサーチゲート)は主に英語圏の情報が中心であり、非英語圏の研究者や研究成果が十分に反映されずらい可能性があります。
ResearchGateで論文をアップロードする際の著作権問題
出版社の著作権ポリシーの確認
ResearchGate(リサーチゲート)に論文をアップロードする際には、出版社の著作権ポリシーを確認する必要があります。
まだまだ多くの学術雑誌では、出版された論文の著作権が出版社に帰属している場合があり、許可なくアップロードすることは著作権侵害となる場合があります。
アップロード可能なバージョン
出版された最終版ではなく、著者最終稿(査読後、出版社による編集前の原稿)のアップロードが認められているときがありますので、出版社に確認が必要な場合があります。
プレプリント(査読前原稿)をアップロードする場合は、その旨を明記することが必要です。
エンバーゴ期間の遵守
出版社によっては、出版後一定期間(エンバーゴ期間)は論文の公開を制限している場合があります。
この期間を遵守し、適切なタイミングでアップロードする必要があります。エンバーゴの期間でアップロードする際は十分注意が必要です。
共著者への配慮
論文をアップロードする前に、すべての共著者の同意を得ることが望ましいです。
特に、責任著者(corresponding author)以外がアップロードする場合は注意が必要です。
ResearchGateでアップロードする際のライセンスの種類について
公開ライセンス
- CC (Creative Commons) ライセンス
- CC BY: 著作者の表示を条件に、改変や商用利用を含む自由な利用を許可。
- CC BY-NC: 非営利目的での利用のみ許可。
- CC BY-ND: 改変を禁止。
- CC BY-SA: 同じライセンスでの共有を条件に許可。
制限付きライセンス
- 著作権保持: 全ての権利を保持し、他者による利用を制限。
- 出版社ポリシーに準拠: 出版社の方針に従ったライセンス(多くの場合、著者最終稿のみアップロード可能)。
非公開オプション
- プライベート共有: 特定の研究者やグループのみにアクセスを制限。
これらのライセンスオプションを選択することで、研究成果を適切に共有しつつ、著作権を保護することが可能です。ライセンスの選択は慎重に行い、必要に応じて出版社や共著者と相談することが重要です。
まとめ
ResearchGate(リサーチゲート)は、研究者が研究成果を共有し、他の研究者とつながるための学術専門のSNSです。
2008年に設立され、現在では1400万人以上の会員を持つ、世界最大級の学術SNSとして広く活用されています。プラットフォームの主な機能には、論文の共有、オープンアクセスの促進、研究者同士の交流、研究成果の発信、求人情報の提供などがあり、研究活動を支援する多様なサービスを提供しています。
一方で、ResearchGate(リサーチゲート)にはいくつかの課題があります。特に著作権問題は大きなリスクです。
研究者が論文をアップロードする際には、出版社の著作権ポリシーを守り、適切なバージョンを公開する必要があります。また、エンバーゴ期間を遵守し、共著者の同意を得ることも重要です。これらを怠ると、著作権侵害として法的なトラブルに巻き込まれる可能性があります。
さらに、品質管理の問題として、査読を経ていないプレプリントや未発表の論文の共有により、誤った情報が拡散されるリスクがあります。
また、研究者の個人情報の取り扱いや、営利目的のデータ利用に関するプライバシーやセキュリティの懸念も存在します。ResearchGate(リサーチゲート)独自の評価指標が、伝統的な学術評価とは異なる基準を持つため、評価に影響を与える可能性もあります。
これらの点を踏まえて、ResearchGate(リサーチゲート)を効果的に活用するためには、著作権や情報の品質に注意を払い、プライバシー保護を重視しながら利用することが求められます。適切な使用によって、ResearchGate(リサーチゲート)は研究の発展とネットワーク形成に大いに役立つツールとなるでしょう。
参考
Wikipedia. (n.d.). ResearchGate. Retrieved from https://ja.wikipedia.org/wiki/ResearchGate
ResearchGate. (n.d.). ResearchGate. Retrieved from https://www.researchgate.net/
ResearchGate Help Center. (n.d.). ResearchGate Help Center. Retrieved from https://help.researchgate.net/hc/en-us
学術情報発信ラボ 執筆・編集チーム
学術サポートGr.
学術情報発信に携わる編集チームとして、長年にわたり学術出版に関する深い知識と実績を有する。国内の数十誌にわたる学術雑誌の発行サポート経験を活かし「学術情報発信ラボ」の執筆チームとして、研究者や編集者に向けた最新のトピックや、研究成果の迅速な発信に貢献する情報を発信している。
専門分野は学術出版、オープンアクセス、学術コミュニケーションであり、技術的な側面と学際的なアプローチを交えた解説が特徴。