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研究者の影響力を測る指標として、h-indexと並んで注目を集めているのがi10-indexです。この指標は、研究者の業績を異なる角度から評価するために設計されています。i10-indexとは何か、どのように計算され、どのような意味を持つのか?i10-indexの特徴や利点、H-indexとの違いを詳しく解説します。特に、若手研究者の評価や研究の影響力を簡潔に示す指標として、i10-indexがどのように活用されているのかを探ります。
目次
- 1. i10-Index概要
- 1.1. i10-Indexとは?
- 1.2. i10-Indexの歴史と目的
- 2. i10-Indexの計算方法
- 2.1. i10-Index の計算方法
- 3. Google Scholarでのi10-Indexの確認方法
- 3.1. 必要なデータと計算手順
- 3.2. 期間ごとの変動
- 3.3. 過去5年間のi10-Index
- 4. i10-Indexの意義と重要性
- 4.1. 研究者にとっての意義
- 4.2. 大学や機関での評価基準としての意義
- 5. i10-Indexとh-indexとの違い
- 5.1. i10-Indexとh-indexとの比較
- 5.2. i10-Indexでわかること
- 5.3. h-indexでわかること
- 6. i10-Indexの数値の目安とは
- 6.1. i10-Indexの目安の数値
- 7. i10-Indexの限界
- 7.1. i10-Indexの評価の偏り
- 7.2. 考慮すべきデータの不足
- 7.3. 他の指標との併用の重要性
- 7.4. i10-Indexの「10回以上引用」という基準の限界
- 8. 参考
i10-Index概要
i10-Indexとは?
i10-Indexは、Google Scholarが提供する研究者や学術出版物の影響力を測定する指標の一つで、特定の研究者が発表した論文のうち、少なくとも10回以上引用された論文の数を表します。
この指標はその研究者の発表した論文が学術界でどれだけ影響力を持っているかを評価することができます。
i10-Indexは、i10 h-indexや単にi10と呼ばれることがあり、日本語ではi10指標とも表現される場合があります。
i10-Indexの歴史と目的
i10-Index(i10指数)は、比較的に新しい研究評価指標として2011年7月にGoogle Scholarによって導入されました。この指標は、研究者の生産性と影響力を測定するために設計されており、特にh-indexでは十分に評価できない側面を補完する役割を担っています。以下では、i10-Indexの導入背景や目的について詳しく説明します。
i10-Index(i10指数):歴史と背景と目的
- 導入時期:i10-Indexは2011年7月にGoogle Scholarによって導入されました。歴史が長い他の研究評価指標よりも比較的に後に登場しました。
- 開発の背景:Google Scholarは、研究者の生産性を簡単に測定できる指標として、i10-Indexを開発しています。
- 目的:この指標は、h-indexを補完するものとして作られました。h-indexでは捉えきれない、高い影響力を持つ論文や非常に生産性の高い著者を評価するための追加情報を提供することを目的としています。
- シンプルな定義:10回以上引用された論文の数を示すという、非常にシンプルな定義を採用しています。これにより、研究者や評価者が容易に理解し、計算できるようになっています。
- Google Scholar プロフィールとの統合:i10-Indexは、Google Scholar プロフィールの一部として表示されるようになりました。これにより、研究者は自身のプロフィールページで簡単にこの指標を確認できるようになりました。
i10-Indexは比較的新しい指標であるため、その歴史は短いですが、Google Scholarの普及と共に少しずつ知られるようになった点が特徴的です。
i10-Indexの計算方法
i10-Index の計算方法
i10-index(i10指数) の計算はとても簡単で2つのステップのみで計算できます。
i10-Index の計算方法
出版物をリストアップ
自分のi10-index(i10指数)を調べる場合は、自身の論文をリストアップ
1
数を数える
10回以上の引用がある論文をカウントします。
i10-index (i10指標)は、10 回以上の引用があった論文の数です。
2
たとえば、50本の論文を発表し、そのうち15本が少なくとも10回の引用を受けている場合、i10-index(i10指数)は15になります。
Google Scholarでのi10-Indexの確認方法
Google Scholarでは自身のプロフィール画面にてi10Index(日本語表示:i10指標)が表示されています。
この数値は、自身の論文のうち、10回以上引用された論文の数を意味します。以下に、i10-Index(i10指数)の確認方法を解説します。
必要なデータと計算手順
i10-Index(i10指数)を計算するには、まずGoogle Scholarにログイン(https://scholar.google.com/schhp)し、自分のプロフィールページを確認します。
そこで、引用数が10回以上の論文の数をカウントしている数が、画面右上に掲載されております。画像の例では、論文552本が少なくとも10回以上引用されているということとなります。
期間ごとの変動
i10-Index(i10指数)は、研究者の活動期間や論文の発表時期により変動します。
Google Scholarの自身のプロフィール画面(https://scholar.google.com/citations)では、一定期間ごとの引用数の推移を棒グラフで示しており、評価の際にこの変動を考慮することが重要です。
過去5年間のi10-Index
Google Scholarの自身のプロフィール画面(https://scholar.google.com/citations)では、i10-Index(i10指数)と過去5年間のi10-Index数値が2つ表示されることがあります。
i10-Index(i10指数)と過去直近5年間のi10-Indexの違い
- 全期間のi10-Index(i10指数): 研究者が発表したすべての論文のうち、10回以上引用された論文の総数を示します。
- 過去5年間のi10-Index:直近5年間で10回以上引用された論文の数を示し、この数値は最近の研究活動の影響力を示します。画像に記載されている「177」という数値は、過去5年間におけるi10-Indexを示しています。これは、過去5年間(画像の場合は2019年以降)の間に、少なくとも10回以上引用された論文の数を意味します。
このように、過去5年間のi10-Indexは、研究者の最新の研究がどれだけ引用されているかを把握するための指標として重要です。
i10-Indexの意義と重要性
研究者にとっての意義
i10-Index(i10指数)は、研究者が自身の学術的な影響力を評価し、他者にアピールするための重要な指標です。
この指標が高いほど、その研究者が発表した論文が他の研究者によって広く引用されていることを示し、研究者の知名度や業績を裏付ける要素となります。
大学や機関での評価基準としての意義
大学や研究機関は、研究者の採用や昇進、研究費の配分などにおいて、i10-Indexを一つの評価基準として利用することができます。
これは、研究者の論文がどれだけ引用されているかという客観的なデータを基に、その研究者の貢献度を評価するためです。
i10-Indexとh-indexとの違い
i10-Indexとh-indexとの比較
学術界での研究者の影響力を評価するために、さまざまな指標が使用されています。i10-Indexは、h-indexを補完するものとして作られました。
h-indexでは捉えきれない、高い影響力を持つ論文や非常に生産性の高い著者を評価するための追加情報を提供することを目的としています。i10-Indexとh-indexについて、簡単に違いを示します
指標 | 定義 | 測定内容 | 使用場面 |
---|---|---|---|
i10-Index | 10回以上引用された論文の数 | 高い影響力を持つ論文の量 | 個人の業績評価、研究機関の評価 等 |
h-index | h本の論文がそれぞれh回以上引用されている | 全体的な研究の質と量のバランス | 個人のキャリア評価、研究の影響力測定、研究助成の審査 等 |
i10-Index(i10指数)は、10回以上引用された論文の数に焦点を当てており、研究者の論文の中で特に引用されているものがいくつあるかを示します。
h-indexは、研究者が発表した論文が引用される頻度のバランスを評価するもので、論文の質(発表数)と量(被引用数)を総合的に把握するために用いられます。
どちらの指標も、研究者の業績を評価するための重要なツールとして、それぞれ異なる視点から影響力を測定しています。
i10-Indexでわかること
i10-Indexからは以下のことがわかります:
h-indexでわかること
H-indexからは以下のことがわかります:
i10-Indexの数値の目安とは
i10-Indexの目安の数値
i10-Indexの数値の目安を示すことは難しいです。
その理由は、i10-Indexが以下のような要因に強く依存しており、標準的な数値の基準を設定することが困難だからです。以下にその難しい理由の詳細を示します。
i10-Indexの数値の目安を示すことは難しい理由
研究分野による違い
各研究分野には、それぞれの引用慣習や出版の頻度があります。
例えば、生命科学や医学の分野では、研究成果が迅速に共有され、多く引用される傾向がありますそのため、i10-Indexの数値は高くなることが多いです。一方、数学や哲学などの分野では、引用の頻度が低いため、i10-Indexも相対的に低くなる傾向があります。したがって、分野ごとにi10-Indexの数値の基準が大きく異なり、共通の目安を設定することは難しいです。
研究者のキャリアステージ
i10-Indexは、研究者のキャリアの進展に応じて変動します。
若手研究者は、論文の発表数が少なく、引用数も限られているため、i10-Indexは低くなりがちです。一方で、キャリアの長い研究者は、発表する論文の数も多く、それに伴いi10-Indexも高くなりやすいです。
このように、研究者のキャリアステージによってもi10-Indexの目安が変わるため、一般的な基準を設けることは難しいです。
引用動向の変化
学術界全体の引用動向やトレンドもi10-Indexに影響を与えます。
例えば、新しい研究分野が急速に成長すると、その分野で発表された論文の引用数が急増することがあります。これにより、当該分野の研究者のi10-Indexも急上昇する可能性があります。逆に、成熟した分野では引用数が安定しており、i10-Indexの変動が少なくなることがあります。こうした引用動向の変化は、i10-Indexの数値の目安を一律に定めることをさらに困難にします。
データベースの影響
i10-IndexはGoogle Scholarを基にして算出されるため、Google Scholarのデータベースの範囲や精度にも依存します。例えば、Google Scholarは特定のジャーナルや会議の論文を包括的にカバーしていますが、他のデータベース(例:Web of ScienceやScopus)と比較するとカバー範囲が異なることがあります。
このため、Google Scholarでのi10-Indexは、他のデータベースに基づく指標とは異なる結果を示すことがあり、統一的な目安を示すことが困難です。
i10-Indexの数値について統一的な目安を示すことは難しいです。
i10-Indexは、研究者の影響力を測定するための有用な指標の一つではありますが、その評価には文脈や条件を考慮する必要があります。
そのため、i10-Indexを利用する際には、分野やキャリアステージ、引用動向などの要素を考慮した上で、他の評価指標(例:h-indexやインパクトファクター)と併用することが推奨されます。
i10-Indexの限界
i10-Indexは研究者の影響力を測定するための指標ですが、いくつかの限界と批判点があります。
i10-Indexの評価の偏り
i10-Indexは、分野や研究の特性によって偏る可能性があります。引用が少ない分野や新興分野では、i10-Indexが低くなる傾向があるため、すべての分野で公平な評価を提供するわけではありません。
考慮すべきデータの不足
i10-IndexはGoogle Scholarのデータを基に計算されるため、データの完全性に限界があります。
特に、非英語圏の文献や非公開データが十分に反映されない問題があります。
他の指標との併用の重要性
i10-Indexは個々の研究者の影響力を評価しますが、ジャーナルの影響力を評価するインパクトファクターなど他の指標と併用することで、より総合的な評価が可能です。
i10-Indexの「10回以上引用」という基準の限界
i10-Indexの基準である「10回以上引用」は、全ての研究分野や状況に適したものではなく、恣意的な設定に過ぎません。
分野によっては、10回の引用が非常に多いとされる場合や、逆に少なすぎるとされる場合があります。そのため、i10-Indexは単独で使用するのではなく、h-indexやインパクトファクターなど他の指標と併用し、多角的に研究者の業績を評価することが重要です。これにより、より正確で公平な評価が可能になります。
参考
Google Scholar. (n.d.). Google Scholar Metrics. Retrieved from https://scholar.google.com/intl/en/scholar/metrics.html
University of Massachusetts Amherst Libraries. (n.d.). Research Impact Indicators & Metrics: Author Metrics. Retrieved from https://guides.library.umass.edu/Research_Impact/Author_Level_Metrics
Cornell University Library. (n.d.). Measuring your research impact: i10-Index. Retrieved from https://guides.library.cornell.edu/impact/author-impact-10
学術情報発信ラボ 執筆・編集チーム
学術サポートGr.
学術情報発信に携わる編集チームとして、長年にわたり学術出版に関する深い知識と実績を有する。国内の数十誌にわたる学術雑誌の発行サポート経験を活かし「学術情報発信ラボ」の執筆チームとして、研究者や編集者に向けた最新のトピックや、研究成果の迅速な発信に貢献する情報を発信している。
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