CrossrefのContent Registrationは、学術出版物にDOIを割り当て、研究者や出版社がコンテンツを正確に管理・追跡できるようにするサービスです。このサービスにより、論文やデータセットが一貫して識別され、どのプラットフォームでも容易にアクセス可能となります。さらに、Content Registrationは、コンテンツの透明性を高め、他の研究者からの引用率を向上させるための重要な役割を果たします。学術出版における信頼性の向上に貢献します。

Crossrefとは?

Crossrefのの目的

Crossrefは、学術出版物に対してDOI(Digital Object Identifier)を割り当てる非営利組織で、デジタルコンテンツの一意な識別子と永続的なアクセスを保証しています。

DOIは、出版物がオンライン上で移動しても常に特定のコンテンツにリンクできるようにするユニークな識別コードで、この仕組みがあることで学術研究や専門的な出版物が世界中で広く発見され、引用されやすくなっております。

Crossrefとは?学術コミュケーションを強力に連携するサービス

Crossrefは、学術出版において不可欠なサービスを提供する国際的な非営利組織です。 DOI管理、盗用防止、研究資金追跡など、多様なツールで研究者や出版社を支援し、学術情報の信頼性とアクセス性を向上させています。

サービスの必要性

Crossrefは、DOIを発行し、学術コンテンツの正確な識別と信頼性の向上を支援します。

DOIによって論文やデータは一貫して追跡可能で、常に正確な情報にアクセスできる状態が維持されます。これにより、学術出版の透明性が向上し、研究者同士の円滑なコミュニケーションが促進されます。

Crossrefが提供する主なサービス

Crossrefでは様々なサービスを提供しています。主なサービスをご紹介します。

Crossrefが提供する主なサービス

  • DOIの発行と管理(DOI Assignment and Management): 学術出版物にDOIを付与し、コンテンツの永続的な識別とアクセスを保証します。
  • メタデータの登録(Metadata Registration): 各コンテンツに関連する情報を管理し、検索性と発見性を向上させます。
  • 引用リンクの追跡(Citation Tracking): 学術論文の引用状況を追跡し、研究の影響度を可視化します。
  • コンテンツのリンク(Content Linking): プレプリントやデータセットなど、異なるコンテンツをメタデータで相互にリンクします。

Crossrefのサービスと影響

Crossrefのサービスは、学術出版の管理と共有を効率化し、研究者が長期的にコンテンツを利用・管理できるようにサポートしています。このようなサービスにより、学術出版は広く発見され、引用されやすくなり、研究の影響力が高まる効果があります。

Crossref Content Registrationの導入

Crossrefの提供するサービスの一つに、Crossref Content Registrationがあります。このサービスは、学術コンテンツにDOIを割り当て、関連するメタデータを登録するための重要なツールです。

Crossref Content Registrationサービスについて解説いたします。

Crossref Content Registrationサービスとは

Crossref Content Registrationは、学術出版物のメタデータを登録・更新するためのシステムです。

主な特徴

Crossref Content Registrationサービスでの主な特徴は下記のような特徴があります。

Crossref Content Registrationの主な特徴

  • メンバーが論文や書籍などの学術コンテンツのメタデータをCrossrefに登録できるシステムです
  • メタデータには、日付、タイトル、著者、所属機関、資金提供者、オンラインの所在地などの情報が含まれます
  • Digital Object Identifier (DOI)という永続的な識別子も割り当てられ、コンテンツの移動後も追跡可能になります

重要性

Crossref Content Registrationサービスは下記のような重要性があります。

Crossref Content Registrationの重要性

学術コミュニティへの貢献

  • 登録されたメタデータは、引用、資金提供の影響報告、活動記録、成果追跡などに活用されます

発見可能性の向上

  • メタデータを長期的に維持・更新することで、コンテンツが発見され、引用され、リンクされる可能性が高まります

研究のつながりを促進

  • 何百万もの他の出版物とつながることで、学術研究や専門的研究の影響力が広がります

登録可能なリソースの種類

著者や学術出版社では、CrossrefのContent Registrationサービスを通じて様々な学術コンテンツが登録可能です。登録できるコンテンツを簡単に解説させていただきます。

コンテンツの種類解説
書籍、章、参考資料書籍のタイトルや章単位のレコードを含み、書籍はモノグラフ(単著の学術書)、シリーズ、セットとして登録できます。
会議論文・会議録1つの会議に関する情報と、各会議論文・議事録の記録が含まれます。
データセットデータベースのレコードやデータコレクションを含むコンテンツを登録できます。
学位論文単一の学位論文や博士論文、修士論文が登録可能です。
助成金直接的な資金提供や、機器・施設の使用といった支援が含まれます。
ジャーナルと記事ジャーナル全体または個々の記事レベルでの登録が可能です。補足資料もコンポーネントとして含まれます。
ピアレビュー(査読)他のCrossrefに登録された作品に関連するレビュー、レポート、コメントなどが含まれます。
保留中の公開最小限のメタデータを持つ一時的なプレースホルダーレコードで、コンテンツが公開前にDOIを共有する際に使用されます。
プレプリントと投稿されたコンテンツプレプリント、eプリント(電子版の学術論文)、ワーキングペーパー(研究途中の報告書)、レポート、その他の正式に公開されていないコンテンツが含まれます。
レポートとワーキングペーパー公開済みでISSNを持つ可能性が高いコンテンツが含まれます。
標準標準化団体による出版物が含まれます。

出版物のタイプとその要件

出版物のタイプによって、Crossrefでの登録に必要なメタデータの要件が異なります。

学術論文には、著者情報、発行日、ISSN(国際標準逐次刊行物番号)などが必要で、書籍の場合はISBNや出版社情報が求められます。さらに、プレプリントやワーキングペーパーのような未公開コンテンツも登録可能で、出版前にDOIを共有することで、早期の引用やフィードバックが期待できます。

メディアリソースの対応状況

Crossrefは、学術論文だけでなく、画像、ビデオ、オーディオファイルといったメディアリソースも登録対象としています。

これにより、視覚的データや補助的なメディアが含まれる研究も、一貫した管理と引用が可能になります。研究データにメディアリソースを登録することで、より豊富なコンテンツが発見され、研究の幅が広がります。

メタデータとその重要性

Metadataでの識別子の役割

DOIはコンテンツ自体を一意に識別しますが、メタデータはそのコンテンツに関連する詳細情報を提供します。

メタデータには、著者名、タイトル、発行日、資金提供者、関連する研究データなどが含まれ、これによりコンテンツが正確に識別され、他の研究者が容易にアクセス・引用できるようになります。メタデータが豊富で正確であるほど、コンテンツの価値と発見されやすさが向上します。

品質管理と著者情報の重要性

Crossrefに登録されるメタデータは、コンテンツの信頼性を高めるために正確でなければなりません。

著者情報や発行日などのメタデータが不正確であれば、検索エンジンでのインデックス付けや、他の研究者が正確に引用する際に問題が生じる可能性があります。特に、著者情報の正確性は、研究者の信用を高め、研究成果のインパクトを最大化するために不可欠です。

メタデータの要件と標準化

Crossrefでは、メタデータの標準化に力を入れており、登録するコンテンツは国際標準に基づいたメタデータを使用する必要があります。

これにより、異なるプラットフォームやデータベースでの検索や参照が容易になり、学術情報がスムーズに共有されます。メタデータには、タイトル、著者、出版日、DOI、ISSN/ISBNなどが含まれ、これらの情報はCrossrefのメタデータ登録スキーマに従ってフォーマットされます。

コンテンツ登録の義務と手数料

コンテンツ登録の費用

Crossrefにコンテンツを登録する際、各コンテンツごとに登録料が発生します。

料金はコンテンツの種類や量によって異なり、大量のバッチ登録やバックファイル素材に対するディスカウントも提供されています。また、既存のメタデータを更新する場合には追加費用はかかりません。メンバーシップに基づく料金体系であり、四半期ごとに請求されるため、効率的なコスト管理が可能です。

メタデータの更新と管理

メンバーは、登録したコンテンツのメタデータを長期的に維持および更新する義務があります。

これは、コンテンツが新しいWebサイトに移動した場合や、メタデータに新たな情報が追加された場合でも、コンテンツが継続的に発見され、引用されることを確保するためです。メタデータの更新は無料で行われ、Crossrefのシステムを通じて簡単に実行できます。

まとめ

Crossref Content Registrationサービスは、学術コンテンツを効果的に管理し、世界中の研究者にアクセス可能にするための重要なインフラです。DOIを通じてコンテンツが一意に識別され、正確なメタデータが付与されることで、研究成果の発見率と引用率が向上します。

メタデータの品質管理や定期的な更新を行うことで、コンテンツの信頼性を高め、研究者や読者が常に最新の情報にアクセスできるようにします。Crossrefのインフラストラクチャを活用することで、学術出版物の透明性と永続性が保証され、研究の影響力が最大化されます。

参考文献

著作権情報:このページに掲載されているコンテンツは、Crossref によって作成され、クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンス (CC BY 4.0) の下でライセンスされています。

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学術情報発信ラボ 執筆・編集チーム

学術情報発信に携わる編集チームとして、長年にわたり学術出版に関する深い知識と実績を有する。国内の数十誌にわたる学術雑誌の発行サポート経験を活かし「学術情報発信ラボ」の執筆チームとして、研究者や編集者に向けた最新のトピックや、研究成果の迅速な発信に貢献する情報を発信している。

専門分野は学術出版、オープンアクセス、学術コミュニケーションであり、技術的な側面と学際的なアプローチを交えた解説が特徴。

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