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本記事では、ICMJE(International Committee of Medical Journal Editors)に参加する主要な医学ジャーナル(BMJ、JAMA、NEJMなど)とその影響について詳しく解説します。ICMJEは、医学研究の実施や報告、出版において、国際的な倫理基準を提供しており、これに従うことで研究の信頼性が向上します。また、利益相反の開示やAI技術の使用に関する最新ガイドラインも取り上げ、研究者や編集者にとっての重要なポイントを紹介します。
ICMJEとは?
ICMJEの定義と役割
ICMJE(International Committee of Medical Journal Editors:医学雑誌編集者国際委員会)は、学術出版において透明性と倫理性を確保するための国際的なガイドラインを策定する編集者団体です。
この団体は主に医学分野の主要ジャーナルの編集者で構成され、毎年「医学雑誌における学術研究の実施、報告、編集、出版に関する推奨事項」(ICMJE Recommendations)を更新しています。
このガイドラインは、研究者、編集者、出版者が一貫した基準に基づいて論文を作成、編集、発行できるよう支援し、世界の5,000以上の国際ジャーナルで採用されていると言われています。
国際的な医学雑誌編集者の会議
ICMJEは、Annals of Internal MedicineやBritish Medical Journal(BMJ)、Journal of the American Medical Association(JAMA)などの主要医学雑誌の編集者が参加しており、国際的な基準に基づいた出版倫理の促進を目的としながら学術出版全体における信頼性向上を目指しています。
ICMJEの目的と歴史
ICMJE設立の背景
ICMJE(International Committee of Medical Journal Editors)は、1978年にブリティッシュコロンビア州バンクーバーで開かれた医学雑誌編集者の非公式な会合から始まりました。
このグループは「Vancouver Group」として知られており、生物医学雑誌への投稿論文の様式を統一するためのガイドラインを作成する目的で集まりました。1978年5月に「生物医学雑誌への統一投稿規定」(Uniform Requirements for Manuscripts Submitted to Biomedical Journals:URM)を公表し、このガイドラインがICMJEの活動の出発点となりました。
ガイドラインの進化と名称変更(1978年から現在まで)
ICMJEのガイドラインは、出版業界における透明性と倫理的基準の必要性に応じて継続的に改訂されています。
特に1982年には、多重投稿に関する記載がURMに追加され、1985年には著者資格に関する詳細な要件が示されました。2001年には、「Sponsorship, authorship, and accountability」という論説で、臨床試験における製薬業界の影響力に警鐘を鳴らし、研究の独立性を守る重要性が強調されました。
2013年には、ガイドラインの名称が「Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly Work in Medical Journals」(ICMJE Recommendations)に変更されました。
この変更は、ガイドラインが単なる論文形式の統一を超え、研究倫理や出版プロセス全体にわたる広範な推奨事項を含むものへと進化したことを反映しています。
現在、ICMJE Recommendationsは、世界中の学術出版に大きな影響を与えています。
ICMJE Recommendationsの概要
ICMJE(国際医学雑誌編集者委員会)の「医学雑誌における学術研究の実施、報告、編集、および出版に関する推奨事項(Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly Work in Medical Journals)」は、医学分野における研究と出版の倫理的かつ透明な手続きについての詳細なガイドラインです。
以下では、その主要な項目について詳細に説明します。
ICMJE Recommendationsの詳細 2024年版
1. 推奨事項の目的(Purpose of the Recommendations)
このガイドラインは、医学分野における研究論文の投稿、編集、査読、出版プロセスを、倫理的で透明性のある形で進めるための基準を示しています。その目的は、研究者、編集者、査読者、出版者、さらには患者やその家族、一般の読者が、公平かつ正確で信頼できる医学論文を利用できる環境を整えることです。この推奨事項は、出版プロセス全体にわたる倫理的な実践と科学的な正確性を確保するために役立ちます。
2. 対象となるユーザー(Who Should Use the Recommendations?)
この推奨事項は主に、ICMJE加盟雑誌に論文を投稿する著者や、編集者、査読者、出版者を対象としています。しかし、ICMJEに加盟していない多くの国際的な雑誌も、これを自発的に採用しているため、広範なユーザーが対象となっています。各ジャーナルは、自身の投稿規定と併用する形でこれらの推奨事項を利用すべきです。
3. ICMJEの歴史(History of the Recommendations)
ICMJEは1978年に「Uniform Requirements for Manuscripts Submitted to Biomedical Journals」(生物医学雑誌に投稿される原稿の統一基準)として設立されました。この統一基準は、当初は医学雑誌への原稿提出フォーマットを標準化するために作成されましたが、後に出版倫理や研究の透明性を含む広範な内容に発展しました。2013年には名称が「Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly Work in Medical Journals」に変更され、現在のような包括的なガイドラインとなりました。
4. 著者、寄稿者、査読者、編集者、出版者、雑誌所有者の役割と責任(Roles and Responsibilities of Authors, Contributors, Reviewers, Editors, Publishers, and Owners)
A. 著者と寄稿者の役割の定義(Defining the Role of Authors and Contributors)
- 著者資格の基準
ICMJEは、著者として認められるための4つの基準を提示しています。これには、研究の構想やデータの分析に重要な貢献をすること、論文の草稿を作成または批判的に校閲すること、最終原稿の承認、論文全体に責任を持つことが含まれます。この基準に満たない寄稿者は、「著者」ではなく「非著者寄稿者」として認識され、適切に謝辞で言及されるべきです。 - 人工知能(AI)支援技術の使用
AI技術(例えば、ChatGPTや画像生成ツール)が使用された場合、その旨を原稿内で開示する必要があります。AIは著者として認められないため、AIが関与した部分については人間の著者が最終的に責任を持ち、精査する義務があります。
B. 金銭的・非金銭的関係の開示と利益相反の処理(Disclosure of Financial and Non-Financial Relationships and Activities, and Conflicts of Interest)
- 利益相反の開示
研究に関連する利益相反がある場合、それが研究の内容や解釈に影響を与える可能性があります。著者、査読者、編集者は、こうした関係や活動を公開することで透明性を保つ義務があります。ICMJEは、標準化された開示フォームを使用し、特定の利益相反がどのように研究に影響を与えるかを明確に記載することを推奨しています。
C. 投稿および査読プロセスにおける責任(Responsibilities in the Submission and Peer-Review Process)
- ハゲタカジャーナルへの投稿を回避する
近年、査読を行わない、あるいは不十分な査読を行う「プレデター(疑似)ジャーナル(日本語:ハゲタカジャーナル)」の問題が広がっています。著者は、投稿先のジャーナルの信頼性や運営方針を確認し、プレデター雑誌に誤って投稿しないよう注意を払う必要があります。
D. 雑誌所有者と編集の独立性(Journal Owners and Editorial Freedom)
- 編集の独立性
ICMJEは、編集者が雑誌所有者から独立して編集上の決定を下せるべきだとしています。所有者は編集者を任命し、その責任と権限を明確にする契約を結ぶ必要がありますが、編集の独立性を侵害することは許されません。
5. 出版に関連する問題(Publishing and Editorial Issues Related to Publication in Medical Journals)
A. 訂正、撤回、再公開、バージョン管理(Corrections, Retractions, Republications, and Version Control)
- 誤りの訂正と撤回
研究結果の誤りが判明した場合は、誠実な科学の進展を守るために、適時に訂正や撤回が行われるべきです。重大な誤りによって結論が無効となる場合は、撤回が必要となりますが、正当な理由がある場合には、訂正して再公開することも可能です。
B. 科学的不正行為、懸念の表明、撤回(Scientific Misconduct, Expressions of Concern, and Retraction)
- 科学的不正行為への対応
データの捏造や改ざん、剽窃などの科学的不正行為が疑われる場合は、編集者が適切な手続きを開始し、場合によっては著者の所属機関に調査を依頼します。不正行為が確認された場合は、論文の撤回が必要です。
C. 重複投稿と以前の公開(Duplicate Submission and Prior Publication)
- 重複投稿の禁止
同一の原稿を複数の雑誌に同時に提出することは禁止されています。また、以前に公開された内容と大きく重複する原稿を提出することも避けるべきです。
6. 原稿準備と投稿に関するガイドライン(Manuscript Preparation and Submission)
A. 原稿の準備(Preparing a Manuscript for Submission)
- 報告ガイドライン
各研究の種類に応じた報告ガイドライン(例えば、ランダム化比較試験の場合はCONSORTガイドライン)に従って、研究を記述することが推奨されています。これにより、編集者、査読者、読者が研究内容を評価しやすくなります。
B. 原稿の投稿(Sending the Manuscript to the Journal)
- カバーレターとチェックリスト
原稿を投稿する際には、カバーレターやジャーナル指定の提出フォームを添付し、利益相反の開示、著者全員の承認の確認、以前の投稿履歴の開示などの情報を提供する必要があります。また、多くのジャーナルは投稿前にチェックリストを使用して、全ての必要書類が揃っているかを確認するプロセスを導入しています。
このように、ICMJEの「推奨事項」は、研究の実施、報告、編集、出版の全過程において透明性と倫理的な判断を促すための詳細なガイドラインです。これに従うことで、医学分野の研究成果が公正かつ正確に評価され、広く利用されることが期待されています。
ICMJE Recommendationsの更新
2022年改訂内容概要
2022年のICMJE提言では、主にプレプリントに関するガイドラインの追加や、重複出版物に関する明確化、参加者の選択と説明に関するガイダンスが強化されました。これにより、研究サンプルがどの程度対象集団を代表しているかや、人種・民族に関する情報の報告に関する指針が追加されています。
2022年の改訂内容表
改訂年 | セクション | 改訂内容 |
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2022年 | III.D.2(重複および以前の出版物) | 保健技術評価機関や規制当局の報告書は重複出版物と見なされないことを明記。 |
2022年 | IV.A.3.d.i(参加者の選択と説明) | 研究サンプルが対象集団をどの程度代表しているかコメントを追加。人種や民族に関するデータが収集されていない場合、その理由を説明することを求める。人種や民族は社会的構造であり、生物学的構造ではないことを認識させる指針。 |
2022年 | プレプリントに関する更新 | 2021年12月の更新で新しいセクション「III.A.3」が追加され、プレプリントに関するガイドラインが含まれる。 |
2022年の改定内容詳細についてはhttps://www.icmje.org/news-and-editorials/updated_recommendations_may2022.htmlより確認することができます。
2023年改訂内容概要
2023年のICMJE提言では、著者基準の修正、AI技術の使用に関するガイドラインの追加が行われ、AI技術を利用した場合の報告基準が明確にされました。また、性別とジェンダーに関する報告の重要性も強調されました。
2023年の改訂内容表
改訂年 | セクション | 改訂内容 |
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2023年 | II.A(著者基準) | 著者基準#2の表現が「作品を批判的に改訂」から「批判的にレビュー」へ変更。著者が原稿を改訂する必要があるという誤解を防ぐための変更。 |
2023年 | II.C.3(査読者の責任) | 査読者がAI技術を使用してレビューを行う場合の開示が求められ、AIによる出力が正確であるか慎重に評価する必要があることが強調される。 |
2023年 | IV.A.2(性別とジェンダーに関する報告ガイドライン) | SAGERガイドラインを参照し、性別とジェンダーに関する報告の重要性が強調される。 |
2023年 | II.A.4(AI技術の使用) | AI技術の使用に関する報告が求められ、AIは著者として認められず、人間が結果を精査する責任を持つことが要求される。 |
2023年の改定内容詳細についてはhttps://www.icmje.org/news-and-editorials/updated_recommendations_may2023.htmlより確認することができます。
2024年改定内容概要
2024年のICMJE提言では、特にAI技術の使用に関するガイドラインが強化され、著者基準、資金支援の開示、査読プロセスにおけるAIの使用、研究参加者の保護、医学出版の炭素排出への対策が新たに取り入れられました。
2024年の改訂内容表
改訂年 | セクション | 改訂内容 |
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2024年 | II.A.1(著者基準:著者の重要性) | 著者の役割に関する説明を強化し、特に低所得国や中所得国(LMIC)のデータを扱う場合、地元の研究者を著者に含めることが強調される。含まれない場合、論文が拒否される可能性がある。 |
2024年 | II.A.3・II.A.4・IV.A.3.d(AI技術の使用) | AI技術の助けを借りた作業の認識方法を更新し、方法論のセクションにツール、バージョン、プロンプトなどの詳細を記載することを要求。 |
2024年 | II.B・IV.A.3.b(資金支援の開示) | 資金提供の開示では、研究に対する直接支援のみを報告し、個々の著者に対する一般的な支援は区別して報告することが求められる。 |
2024年 | II.C.2.a・II.C.3(AI技術と査読プロセス) | AI技術を査読プロセスで使用する場合、機密性を侵害する可能性があり、編集者は注意が必要。人間による最終確認が求められる。 |
2024年 | II.D.1(医学出版と炭素排出) | 医学出版が炭素排出に寄与しているため、気候変動に対応するための即時の戦略を策定し、カーボンニュートラルを目指すことを要求。 |
2024年の改定内容詳細についてはhttps://www.icmje.org/news-and-editorials/updated_recommendations_jan2024.htmlより確認することができます。
ICMJE利益相反開示フォーム
ICMJEは、ICMJE Recommendationsだけでなく、研究における利益相反の透明性を確保するための「利益相反開示フォーム(Disclosure Form)」も提供しています。
このフォームは、著者が投稿する論文に関連する経済的・非経済的な利益や関係を開示するために使用されます。2021年2月には大幅な更新が行われ、その背景と具体的な内容にいくつかの重要な変更が加えられました。このフォームはwordで提供されており、世界中の学術雑誌で広く利用されております。
「利益相反開示フォーム(Disclosure Form)」はhttps://www.icmje.org/disclosure-of-interest より提供されております。日本語にも翻訳されております。
名称と形式の変更(2021年の変更)
- 名称の変更: これまで「Conflicts of Interest (COI) Form」として知られていたフォームが、更新後は「Disclosure Form」に変更されました。この変更は、"conflict(衝突)"という言葉が持つネガティブなイメージを軽減し、より中立的かつ包括的な表現を目指したものです。
- 形式の変更: フォームの形式もPDFからWordフォーマットへと変更され、ICMJEのウェブサイトから自由にダウンロード可能となりました。これにより、著者は柔軟に記入でき、利便性が向上しています。
利益相反開示フォームの内容
新しいDisclosure Formには、著者が開示する必要がある13の項目が設けられており、以下のような情報が含まれています。
利益相反開示フォームの内容
- 著者の基本情報:氏名や所属機関など、基本的な個人情報
- 投稿論文に関連する支援の開示:論文の研究に対してどのような金銭的支援があったかを報告
- 投稿論文以外の財務活動の開示:投稿論文とは関係がないが、著者が関わっている他の金銭的活動に関する情報を報告
- 知的財産権(特許や著作権)の開示:投稿論文に関連する知的財産権の有無を報告
- その他の関係性や活動の開示:金銭的および非金銭的な利益や関係性に関する情報
重要なポイント
- 過去36ヶ月間の報告:フォームでは、過去36ヶ月にわたって著者が関与したすべての関係性を報告することが求められます。これにより、最近の関係性が研究や論文に与える影響を明確にします。
- 広い解釈の推奨:著者は、論文の内容に関連する関係性をできるだけ広く解釈して開示することが求められます。曖昧なケースでも、透明性を重視して開示する方針が推奨されます。そのためフォームの記載内容も詳細かつ広範囲です。
- 正確性の証明:著者はフォームの最後に、自ら記入した情報が正確であることを証明する必要があります。この確認によって、フォームの信頼性が高められます。
注意点と課題
- 曖昧さのリスク:フォームの13番目の項目である「その他の金銭的あるいは非金銭的利益」は、個々の解釈に依存しやすく、報告するべきかどうかの判断が難しい場合があります。特に、非金銭的および個人的な利益相反は曖昧で、これを正確に区別することが課題です。
- バイアスの懸念:非金銭的利益は個人的なバイアスを招く可能性があるため、著者は慎重に開示する必要があります。
影響と意義
このICMJEの利益相反開示フォーム(Disclosure Form)は、医学研究における倫理的基準の向上と透明性の確保を目指しています。
著者が自らの関係性や利益を正確に開示することで、読者や査読者は研究が公平に行われたかどうかを判断しやすくなります。このため、フォームの重要性を理解し、誠実かつ包括的に記入することが著者に求められます。
ICMJEの利益相反開示フォームは、医学研究の信頼性を高めるために不可欠なツールとなっており、今後も多くの医学雑誌での利用が期待されています。
ICMJEの参加ジャーナルと影響
参加しているジャーナルの紹介
ICMJEへ参加しているジャーナルには、『Annals of Internal Medicine』『BMJ』『JAMA』『New England Journal of Medicine』『The Lancet』などが含まれています。これらのジャーナルは、医療や学術研究において非常に高い影響力を持ち、医療分野における質の高い研究成果を掲載することで知られています。
これらのジャーナルはICMJEの「メンバー」としてではなく、ICMJEのガイドラインに従うことを表明しているという形で関与しています。
ICMJEの推奨に従うことによって、研究者や編集者は、科学的倫理や出版の透明性を確保し、信頼性の高いデータを提供することが求められています。なお、ICMJEがこれらのジャーナルを公式に認証しているわけではなく、リストの正確性をICMJE自体が保証するものでもありません。しかし、ICMJEの推奨に従うことで、研究の信頼性と質が大幅に向上し、医学の発展に大きく寄与しています。
リストは https://www.icmje.org/journals-following-the-icmje-recommendations/ より確認できます。
学術出版に対する影響とガイドラインの適用
ICMJEのガイドラインは、学術出版全体において倫理的な基準を設定する重要な役割を果たしています。これらのガイドラインを遵守することで、研究者や編集者は論文の質を向上させ、医学研究の透明性と信頼性を確保できます。ICMJEのガイドラインに従うジャーナルは、正確で公正な査読プロセスを実施し、研究の評価を適切に行うための基準を提供しています。
さらに、ICMJEの勧告は、科学研究における利益相反の透明性を確保し、倫理的な研究実施を推進しています。著者は、論文投稿時に利益相反を適切に開示することが求められ、査読プロセスや研究成果の報告においても公正性が確保されます。特に、AI技術の使用や、低所得国(LMIC)におけるデータの取り扱いに関しても、ICMJEのガイドラインは、研究の公平性を担保するために重要な役割を果たしています。
ICMJEによるガイドラインの重要性
ICMJEのガイドラインは、医学研究における信頼性と質の向上に寄与しており、世界中のジャーナルがこれに従うことで、研究の公正な競争が促進されています。また、ICMJEの推奨に従うことは、学術出版全体の透明性と倫理性を高めるだけでなく、研究者同士の信頼関係を築く基盤にもなっています。
AI技術と医学研究
ICMJEは、AI技術の使用が増加していることを踏まえ、AIが生成したコンテンツの扱いに関する厳しいガイドラインを設けています。
AI技術(例えば、ChatGPTなどの生成型AI)は著者として認められないため、その使用は適切に開示し、結果は人間の責任において精査される必要があります。さらに、AI技術が生成したデータや画像も、必ず人間による確認と引用が求められます。
まとめ
ICMJE提言と利益相反開示フォームは、医学研究の透明性と倫理性を維持するための重要な基準を提供しています。
これらのガイドラインは、研究者が公正かつ誠実な研究を行うために不可欠な要素です。最新の改訂内容では、AI技術の使用、環境への配慮、性別やジェンダーの報告など、現代の研究における新たな課題に対応した指針が示されています。研究者は、これらのガイドラインを正確に理解し、遵守することで、質の高い研究を発表することができるでしょう。
今後もICMJE提言は、時代の変化や技術の進歩に応じて更新され続けることが予想されます。研究者は常に最新の情報に目を向け、倫理的で透明性のある研究を心がけることが重要です。
参考
ICMJE. (n.d.). Recommendations for the conduct, reporting, editing, and publication of scholarly work in medical journals. International Committee of Medical Journal Editors. Retrieved October 23, 2024, from https://www.icmje.org/recommendations/
ICMJE. (n.d.). Disclosure of interest. International Committee of Medical Journal Editors. Retrieved October 23, 2024, from https://www.icmje.org/disclosure-of-interest/
ICMJE. (n.d.). International Committee of Medical Journal Editors (ICMJE). Retrieved October 23, 2024, from https://www.icmje.org/
学術情報発信ラボ 執筆・編集チーム
学術サポートGr.
学術情報発信に携わる編集チームとして、長年にわたり学術出版に関する深い知識と実績を有する。国内の数十誌にわたる学術雑誌の発行サポート経験を活かし「学術情報発信ラボ」の執筆チームとして、研究者や編集者に向けた最新のトピックや、研究成果の迅速な発信に貢献する情報を発信している。
専門分野は学術出版、オープンアクセス、学術コミュニケーションであり、技術的な側面と学際的なアプローチを交えた解説が特徴。