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F1000は、迅速かつ透明なオープンアクセスの研究出版プラットフォームです。研究者や学者にとって、ピアレビューやデータの公開が完全に透明化され、迅速に発表できる新しい出版形態を提供しています。このシステムにより、研究の質向上とオープン科学の促進が期待されています。概要から出版プロセスなど詳細に解説させていただきます。
目次
- 1. F1000の概要
- 1.1. F1000とは何か?
- 1.2. F1000の由来と日本語読み
- 1.3. オープンアクセスの特徴と利点
- 2. F1000の仕組み
- 2.1. 迅速で透明な出版プロセス
- 2.2. オープンピアレビューの概要
- 3. F1000の出版プロセス
- 3.1. 論文の投稿と公開
- 3.2. データの公開と引用
- 4. F1000のピアレビューシステム
- 4.1. ピアレビューの透明性
- 4.2. 投稿者・レビュアーの役割
- 5. F1000の出版物と利用可能な資料
- 5.1. ポスターとスライドの発表
- 5.2. デジタルオブジェクト識別子(DOI)の付与
- 6. F1000のインデックスと引用
- 6.1. 論文のインデックス化
- 6.2. 引用方法とデータセットの引用
- 7. 日本の研究成果を発表するJapan Institutional Gateway (JIG)
- 7.1. オープンアクセスによる迅速な出版と透明なピアレビュー
- 7.2. 日本語での論文発表の可能性
- 8. まとめ
- 9. 参考
F1000の概要
F1000とは何か?
F1000Research(略称F1000)は、オープンアクセスの研究出版プラットフォームであり、科学者、学者、医師が迅速に研究成果を発表できる場を提供しています。
従来の学術ジャーナルとは異なり、編集者による受理・拒否の判断がなく、全ての研究成果が透明なピアレビューを通じて評価されます。これにより、研究の偏りや遅延を防ぎ、幅広い研究内容が迅速に公開されます。
F1000の由来と日本語読み
F1000 は「エフ・ワン・サウザンド」と呼ばれ、の正式名称は「F1000Research」です。
F1000のサービスは2013年に開始した研究者向けのオープンアクセス投稿プラットフォームです。この名称は、元々 "Faculty of 1000" (1000人の教授陣)に由来していますが、現在はプラットフォーム名として独立して使用されています。
F1000は、日本の研究者へも、Japan Institutional Gateway (JIG) を通じて利用可能なプラットフォームとなっています。
オープンアクセスの特徴と利点
F1000はオープンアクセスを採用しており、誰でも無料で論文や研究データにアクセス可能です。
オープンアクセスの利点は、研究者が自身の研究を広く共有できること、そして他の研究者がその研究を迅速に利用して次のステップへ進められることです。この仕組みにより、研究成果の再現性向上や科学の発展に寄与しています。
F1000の仕組み
迅速で透明な出版プロセス
F1000の出版プロセスは非常に迅速です。論文が投稿されると、編集部による基本的なチェックが行われ、その後すぐに「ピアレビュー待ち」として公開されます。
このプロセスにより、研究者は論文の公開を待たずに他の研究者に結果を共有でき、早期に研究の進展に貢献できます。
オープンピアレビューの概要
F1000のピアレビューは、公開された論文に対して専門家がレビューを行い、その結果やレビュー者の名前が公開される仕組みです。
レビュー内容は他の読者も閲覧でき、研究者はレビューのフィードバックを基に論文を改訂することが可能です。この透明性により、ピアレビュー過程の公正性が保たれます。
F1000の出版プロセス
論文の投稿と公開
F1000では、論文の投稿はシンプルなページで完了し、編集部による倫理規範や政策の確認後、1週間以内に公開されます。
公開された論文はすぐに閲覧・引用可能となり、従来のジャーナルよりも迅速に研究成果を広められます。
データの公開と引用
F1000では、論文に関連するデータの完全公開が求められます。
研究の再現性を向上させるために、データはオープンな形式で提供され、他の研究者が容易に利用できるようにします。データもDOIが付与され、論文と同様に引用可能です。
F1000のピアレビューシステム
ピアレビューの透明性
F1000のピアレビューは、すべてのレビュー者の名前とフィードバックが公開され、透明性が確保されています。
これにより、レビュー者のバイアスや不公正な判断が排除され、研究者は公正なフィードバックを受けられます。また、レビューのプロセス自体も公開され、誰でも確認できる点が大きな特徴です。
投稿者・レビュアーの役割
F1000では、投稿者もレビュアーも重要な役割を果たします。投稿者は、論文の公開後にレビューを受け、必要に応じて改訂を行います。レビュアーは、研究の妥当性を評価し、詳細なフィードバックを提供します。この双方向のやり取りにより、論文の質が高められます。
F1000の出版物と利用可能な資料
ポスターとスライドの発表
F1000では、論文以外にもポスターやスライドの発表が可能です。
これらはすぐに公開され、他の研究者と共有されます。ポスターやスライドもDOIが付与され、正式な引用対象となります。
出版物タイプ | 特徴 | DOI付与 | ピアレビュー | 引用可能 |
---|---|---|---|---|
論文 | オープンアクセスで迅速に公開。ピアレビュー後、主要なデータベースにインデックス化される。DOIが付与され、正式な引用が可能。 | あり | あり(公開後) | あり |
ポスター | シンプルなページでの投稿が可能。すぐに公開され、研究者が視認できる。DOIが付与され、正式な引用が可能だが、ピアレビューはない。 | あり | なし | あり |
スライド | ポスターと同様に迅速に公開され、学会や発表に利用可能。DOIが付与され、引用可能だが、ピアレビューはない。 | あり | なし | あり |
デジタルオブジェクト識別子(DOI)の付与
F1000で公開されるすべての研究成果には、デジタルオブジェクト識別子(DOI)が付与されます。これにより、論文や資料が正式に引用され、他の研究者が容易に参照できるようになります。DOIは、研究の透明性と信頼性を向上させる重要な要素です。
F1000のインデックスと引用
論文のインデックス化
F1000で公開された論文は、ピアレビューを通過するとPubMedやScopusといった主要なデータベースにインデックス化されます。
このインデックス化により、研究成果は広く検索可能となり、他の研究者や機関に参照される機会が増えます。
引用方法とデータセットの引用
F1000での引用は、論文やデータセットに付与されたDOIを基に行われます。
F1000では、論文のバージョンごとにDOIが割り当てられるため、改訂されたバージョンも正確に引用できます。また、データセットも同様に引用可能であり、研究の透明性と再現性が保証されます。
日本の研究成果を発表するJapan Institutional Gateway (JIG)
Japan Institutional Gateway (JIG) は、日本を拠点とする研究者がオープンアクセスで研究成果を発表するためのプラットフォームです。
筑波大学をはじめとする提携機関の支援を受けて運営されており、迅速かつ透明性の高いプロセスで論文を発表することができます。
オープンアクセスによる迅速な出版と透明なピアレビュー
JIGでは、F1000Researchの出版モデルを採用しており、プレプリント形式で迅速に論文を公開しつつ、品質を保証するための公開ピアレビューを導入しています。
これにより、編集者のバイアスを排除し、すべての論文が公平に評価されます。研究者が論文を提出すると、公開ピアレビューが行われ、透明性の高い評価が提供されるため、研究の信頼性が向上します。
日本語での論文発表の可能性
JIGでは、特に人文社会科学分野において、日本語での論文投稿も認められています。
これにより、国内外の研究者が日本語で研究成果を発表し、英語と日本語の抄録やメタデータを通じて、主要な書誌データベースに登録することが可能です。この取り組みは、日本語での学術情報流通の拡大に寄与しています。
まとめ
F1000は、迅速で透明なオープンアクセスの研究出版プラットフォームとして、研究の質向上に大きく貢献しています。
オープンピアレビューの導入により、研究者はフィードバックを受けやすくなり、透明性の高い出版プロセスが実現しています。今後もF1000は、科学の進展を支える重要なツールとして、多くの研究者に利用され続けるでしょう。
参考
F1000Research. (n.d.). Japan Institutional Gateway. Retrieved October 20, 2024, from https://f1000research.com/japan-institutional-gateway
F1000Research. (n.d.). F1000Research: Open Research Publishing. Retrieved October 20, 2024, from https://f1000research.com/
F1000Research. (n.d.). Japan Institutional Gateway. Retrieved October 20, 2024, from https://f1000research.com/gateways/japan-institutional-gateway
学術情報発信ラボ 執筆・編集チーム
学術サポートGr.
学術情報発信に携わる編集チームとして、長年にわたり学術出版に関する深い知識と実績を有する。国内の数十誌にわたる学術雑誌の発行サポート経験を活かし「学術情報発信ラボ」の執筆チームとして、研究者や編集者に向けた最新のトピックや、研究成果の迅速な発信に貢献する情報を発信している。
専門分野は学術出版、オープンアクセス、学術コミュニケーションであり、技術的な側面と学際的なアプローチを交えた解説が特徴。