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ISSN(International Standard Serial Number)は、学術雑誌や新聞、電子ジャーナルなど、さまざまな定期刊行物において重要な役割を果たしており、その構造や取得方法、役割などを理解することは、学術出版や情報管理において欠かせません。本記事では、ISSNの基本的な概念から取得方法、ISBNとの違い、電子ジャーナルにおける役割など、ISSNに関する包括的な情報を提供します。
ISSNとは
ISSN(International Standard Serial Number)とは、定期刊行物を識別するための国際的な標準コードです。
1971年に国際標準化機構(ISO)によって制定され、現在は国際ISSNセンターが管理しています。ISSNは、雑誌、新聞、年鑑、電子ジャーナルなど、定期的に発行されるあらゆるメディアに対して付与されます。これにより、特定の定期刊行物を一意に識別し、図書館、書店、オンラインデータベースなどでの情報管理や検索を容易にします。
ISSNは8桁の数字で構成され、ハイフンで区切られた4桁ずつの2つのブロックからなります。このシンプルなフォーマットにより、定期刊行物の識別が効率的に行えるようになっています。例えば、ISSN 1234-5678のように表記されます。
ISSNの構造とフォーマット
ISSNの構造は非常にシンプルで、8桁の数字で構成されています。これらの数字は、ハイフンで区切られた2つのブロック(例:ISSN 1234-5678)として表示されます。最初の7桁は連番で、最後の1桁はチェックディジットと呼ばれる検証用の数字です。チェックディジットは、特定のアルゴリズムに基づいて計算され、誤入力やデータエラーを検出するために使用されます。
ISSNのフォーマットは以下のようになります:
ISSNの記載例:
ISSN 1234-5678
ここで、1234は連番の前半、5678は連番の後半、8はチェックディジットです。チェックディジットは、前の7桁の数字に特定の計算を施すことで得られます。このシンプルな構造により、ISSNは容易に読み取り可能であり、システム間でのデータ交換や管理が簡便です。
ISSNとISBNの違い
ISSNとISBNは、どちらも出版物を識別するための標準化されたコードですが、その対象や用途には明確な違いがあります。
対象物:
- ISSN:定期刊行物(雑誌、新聞、年鑑、電子ジャーナルなど)に付与されます。
- ISBN:書籍や単行本に付与されます。
構造:
- ISSN:8桁の数字(例:ISSN 1234-5678)
- ISBN:13桁の数字(例:ISBN 978-3-16-148410-0)
付与機関:
- ISSN:国際ISSNセンターが管理し、各国のISSNセンターが付与します。
- ISBN:国際ISBN機構が管理し、各国のISBN機関が付与します。
役割:
- ISSN:定期刊行物の一意性を保証し、検索や管理を容易にします。
- ISBN:書籍の特定版や発行形態を一意に識別し、販売や流通を効率化します。
このように、ISSNとISBNはそれぞれ異なるタイプの出版物に特化した識別子であり、その運用方法や目的も異なります。
ISSNの役割と重要性
ISSNは、定期刊行物の一意な識別子として、学術出版や情報管理において重要な役割を果たしています。具体的には以下のような点で重要です:
- 識別と検索:
ISSNは、特定の定期刊行物を一意に識別するためのコードです。これにより、図書館やデータベースでの検索が容易になり、利用者が迅速に目的の刊行物にアクセスできます。 - 情報管理:
図書館やデータベース運営者は、ISSNを用いて定期刊行物の管理を効率化できます。特定の刊行物を迅速に特定し、適切な管理やメタデータの整備が可能となります。 - 国際標準:
ISSNは国際的な標準コードであり、世界中の図書館や書店、オンラインデータベースで広く使用されています。これにより、国境を越えた情報の交換や流通が円滑に行われます。 - 電子ジャーナル:
電子ジャーナルの識別にもISSNは重要な役割を果たしています。電子媒体でも一意な識別が求められるため、ISSNは紙媒体と同様に重要です。 - 統計と分析:
出版業界や学術分野における統計分析にもISSNは利用されます。特定の分野やテーマに関する定期刊行物の発行状況や傾向を把握するためのデータとして活用されます。
学術雑誌におけるISSNの必要性
学術雑誌においてISSNは特に重要です。以下の理由から、学術雑誌にはISSNの取得が推奨されます:
- 信頼性の向上:
ISSNを持つ学術雑誌は、正式な定期刊行物として認識されます。これにより、研究者や読者からの信頼性が向上します。 - 索引付けと引用:
ISSNを持つ学術雑誌は、主要な学術データベース(例:PubMed、Scopus、Web of Science)に索引付けされやすくなります。これにより、論文の引用数やインパクトが向上します。 - 図書館の購読:
多くの図書館は、ISSNを持つ学術雑誌を優先的に購読します。ISSNがあることで、図書館のコレクションに加えられる可能性が高まります。 - 国際的な認知:
ISSNは国際的に認識されているため、学術雑誌の国際的な認知度が向上します。これにより、より広範な読者層にリーチできます。
ISSN取得のための申請手続き
ISSNを取得するための手続きは以下の通りです:
- 申請準備:
まず、申請する定期刊行物の情報を準備します。これには、刊行物のタイトル、発行頻度、発行者情報などが含まれます。 - 申請書の提出:
各国のISSNセンターに申請書を提出します。多くの場合、オンラインフォームや郵送での提出が可能です。 - 審査:
ISSNセンターは、提出された情報を審査し、ISSNの付与を決定します。審査には数週間から数ヶ月かかることがあります。 - ISSNの付与:
審査が完了すると、正式なISSNが発行されます。このISSNは、刊行物のすべての発行物に対して使用されます。 - ISSNの表示:
取得したISSNは、刊行物の表紙やタイトルページに表示します。オンラインジャーナルの場合は、ウェブサイトの適切な場所に表示します。
ISSNの国際的な管理機関
ISSNの管理は国際ISSNセンター(International ISSN Centre)によって行われています。この機関は、フランスのパリに本部を置き、世界中のISSNセンターを
統括しています。
各国にはそれぞれのISSNセンターがあり、国内の定期刊行物に対するISSNの付与と管理を担当しています。これらのセンターは、国際ISSNセンターと連携し、国際的な標準に基づいてISSNを運用しています。
国際ISSNセンターは、ISSNの標準を維持し、各国のセンターに対してガイドラインやサポートを提供しています。また、ISSNに関するデータベースを管理し、全世界の定期刊行物の情報を一元的に管理しています。
ISSNと電子ジャーナル
電子ジャーナルにおいてもISSNは重要な役割を果たしています。電子媒体の普及に伴い、電子ジャーナルの識別にもISSNが広く利用されています。
- 識別と検索:
電子ジャーナルも、紙媒体のジャーナルと同様にISSNを使用して識別されます。これにより、オンラインデータベースでの検索が容易になります。 - アクセスと流通:
ISSNを持つ電子ジャーナルは、図書館やデータベースでのアクセスが容易になります。これにより、研究者や読者は必要な情報に迅速にアクセスできます。 - 信頼性の向上:
電子ジャーナルにISSNが付与されることで、その信頼性が向上します。ISSNは正式な定期刊行物としての証明となり、読者や研究者からの信頼を得やすくなります。
ISSNを持つことで得られるメリット
ISSNを取得することで得られるメリットは多岐にわたります。以下はその主なメリットです:
- 識別と検索の効率化:
ISSNは、特定の定期刊行物を一意に識別するためのコードです。これにより、図書館やデータベースでの検索が迅速かつ正確に行えます。 - 信頼性の向上:
ISSNを持つことで、定期刊行物としての信頼性が向上します。特に学術雑誌の場合、ISSNがあることで研究者や読者からの信頼を得やすくなります。 - 国際的な認知:
ISSNは国際的に認識されているため、定期刊行物の国際的な認知度が向上します。これにより、より広範な読者層にリーチできます。 - 統計分析:
ISSNは、出版業界や学術分野における統計分析に利用されます。これにより、発行状況や傾向を把握するためのデータとして活用されます。 - 流通とアクセスの向上:
ISSNを持つ定期刊行物は、図書館や書店、オンラインデータベースでの流通やアクセスが容易になります。これにより、読者が必要な情報に迅速にアクセスできます。
ISSNとデジタルオブジェクト識別子(DOI)の関係
ISSNとDOI(Digital Object Identifier)は、どちらも学術出版における重要な識別子ですが、その役割と用途には違いがあります。
役割:
- ISSN:定期刊行物全体を識別するためのコードです。
- DOI:特定の論文や記事などのデジタルオブジェクトを一意に識別するためのコードです。
利用方法:
- ISSN:定期刊行物の識別と管理に使用されます。
- DOI:デジタルコンテンツの永久的なリンクとして使用され、アクセスや引用の際に利用されます。
相互補完:
ISSNとDOIは相互に補完し合う存在です。例えば、学術雑誌全体にはISSNが付与され、個々の論文や記事にはDOIが付与されることで、出版物の階層的な識別が可能となります。
利用事例:
電子ジャーナルの場合、ジャーナル自体にはISSNが付与され、掲載される各論文にはDOIが付与されます。これにより、ジャーナルと論文の両方が一意に識別され、検索やアクセスが容易になります。
ISSNの問題点と解決策
ISSNの運用にはいくつかの問題点が存在しますが、それらには適切な解決策があります。
- 重複発行:
同じ刊行物に対して複数のISSNが付与される場合があります。これを防ぐためには、ISSNセンター間の連携とデータベースの整備が重要です。 - 誤入力:
ISSNの誤入力やデータエラーが発生することがあります。これを防ぐためには、チェックディジットの利用やデータ入力の自動化が有効です。 - 更新と維持:
ISSNの更新や維持が適切に行われない場合があります。これを解決するためには、定期的なデータベースの更新とメンテナンスが必要です。 - 国際的な整合性:
各国のISSNセンター間での基準や運用方法の違いが問題となることがあります。これを解決するためには、国際ISSNセンターによるガイドラインの徹底と各国センター間の協力が求められます。
まとめ
ISSNは、定期刊行物を一意に識別するための国際的な標準コードであり、学術出版や情報管理において重要な役割を果たしています。そのシンプルな構造と国際的な認知度により、学術雑誌や電子ジャーナル、新聞などの定期刊行物の識別と管理が効率的に行えます。また、ISSNを持つことで得られる多くのメリットにより、信頼性やアクセス性が向上し、国際的な認知度も高まります。適切な取得手続きや維持管理を行うことで、ISSNの持つポテンシャルを最大限に活用することができます。
学術情報発信ラボ 執筆・編集チーム
学術サポートGr.
学術情報発信に携わる編集チームとして、長年にわたり学術出版に関する深い知識と実績を有する。国内の数十誌にわたる学術雑誌の発行サポート経験を活かし「学術情報発信ラボ」の執筆チームとして、研究者や編集者に向けた最新のトピックや、研究成果の迅速な発信に貢献する情報を発信している。
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